偽ジャンプ

 岡山にうまい定食屋があるというので、彼女に連れて行ってもらった。とにかく客が多く、お店独自のローカルルールを知らないと、いろんなひとから迷惑そうに見られるので気をつけなければならない。僕はそこでカツ丼を食べた。確かに美味しかったんだけど、ずっと急かされている気がして、ちゃんと味わえた気がしない。後日2回目にひとりで訪れた時は、僕はことごとくローカルルールに失敗してしまって、周りの客からも店員からも白い目で見られた。

 その後、ある美容院の前を通る。すると彼女が、この美容院はおもしろくて、店長さんか誰かが自分でつくったジャンプを売ってるという。ジャンプを買うためだけに美容院に入る勇気もなかったのだけど、近くにあるまんだらけ的なお店にも置いてあるというので、そこに行って立ち読みした。

 ジャンプ丸々1冊を、店長さんが自力で描いていて、しかも随所に自分の美容院の宣伝が散りばめてあった。絵は決してうまくはないんだけど、それがまた味があっていい。1冊1,000円するのだけど、1,000円出してもいいなというくらい面白かった。まんだらけ的な店の2階に行って驚いた。そこには、店長さんが描いたジャンプのバックナンバーの他に、店長さんが全42巻分描いたドラゴンボールとか、NARUTOとか、ろくでなしBLUESとか、とにかくもういろんなジャンプマンガがあった。全部絵のタッチが同じで、店長さんの異常なまでの執念を感じた。

 3階はゲームコーナーで、ゼルダの伝説SFC神々のトライフォース)を改造したつくったらしい対戦型ゼルダがあった。リンク同士が戦うんだけど、先にちょこっとだけ相手にダメージを与えた方が、時間切れになるまでハイラルを逃げ回るという、格闘ゲームアクションRPGと鬼ごっこの要素がうまく絡んだおもしろいゲームになっていた。